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ロードヒーティング・検討、見積、最終仕様、工事費

このページでは、設置の動機、要求仕様、各工法毎の工事見積金額(または推定金額)、最終仕様を説明します。

ご注意:このサイトに記載されているメーカ及び商品の採用を推奨するものではありません。参考にする場合、最終判断はご自身でお願いいたします。

ロードヒーティング・はじめに


とある事情で、横浜在住の私が、北海道南空知地方の実家(店舗兼住宅)駐車場にロードヒーティングを導入を検討することになりました。

※南空知:このサイトでは豪雪で知られる岩見沢の南方、車で30分ぐらいの位置とお考えください。幸いにして岩見沢よりは積雪は少ないです。尚世間一般に南空知と言われる地域は、空知支庁(現・空知総合振興局)内の美唄、月形から南方エリアで、岩見沢も含みます。

2011年の2月ぐらいから漠然と検討を始めたのですが、途中、世の中は節電モードになってしまいました。比較的電気を多く消費するロードヒーティングの設置にためらいがあったことは言うまでもありません。ですが背に腹を変えられない事情もあり、悩んでいたところ、1シーズンに2回程度、相当量の排雪費がかかっていることを聞き及びました。”排雪にお金を使うこと=エネルギーの消費”と考えてもさほど間違いではなかろうと、設置することを決めるに至りました。


導入を決める前からネット、知人にあたって工法、工事費、運用費(ランニングコスト)等調べては見たのですが、断片的な情報が多く、一貫性に欠けた情報しか集まりませんでした。
結局のところ、工法のバリエーションの多さ、地域差に依存する部分等、いたしかたないことなのだと思います。
そこでここに、一つの実例として記録を残しておこうと考えた次第です。

サイト利用上の注意事項:
・あくまで実例ですので、参考にして導入したら金額等が違うと文句を言われても困ります。ご了承の上お読みください。
・工事費の見積金額は総額で”万円単位四捨五入”で表記してあります。細かい見積ももらってはいますが、それは工務店の営業上の秘密に当たりそうなので、曖昧にしておきます。
・一般に工事費は、世の中の好景気・不景気に影響されるようです。
・このサイトの文章、画像は無断転載禁止です。

ロードヒーティング・要求仕様

まずは、見積依頼前に、最低限の要求仕様を決めました。

ロードヒーティング・要求仕様・融雪面積と形状
融雪の範囲形状を決めます。
道路側に自動車2台分のスペースとして600×600cm、駐車スペースから店舗側へ200×600cmを通路として確保します。融雪面積は48㎡です。

追記:
上下水道を覆ってしまわないように注意が必要です。上下水道が老朽化し、補修工事が必要になった場合、覆ってしまっていると、大変面倒なことになります。

ロードヒーティング範囲・要求仕様

ロードヒーティング・要求仕様・熱源
熱源として、ユニットヒータと温水(電気ヒートポンプ)の2種類を指定しました。

ユニットヒータ:
融雪コントローラとして株式会社M.C.SのMs3(4回路、1回路から最大4回路まで可能で、回路数により価格が変わります)を指定しました。融雪エリアを4分割し個別制御可能としました。将来店舗を畳んだ場合、融雪範囲を縮小し、基本料金を減らすことを考慮します。

温水(電気ヒートポンプ)の場合:
三菱電機MEL SNOWワイドを指定しました。ランニングコストはユニットヒータと比較して安いので融雪エリアの分割は指定していません。
※MEL SNOWワイド:現在はこの名前では出ていないようですが、MEL SNOWの大型な業務版です。税込の定価で98万円ぐらいです。

ロードヒーティング・要求仕様・熱源
路盤はコンクリートとし、表面はデザイン性に優れたものを指定しました。
ステンシルコンクリートまたはスタンプコンクリートを想定しましたが、具体的な工法は依頼先になじみのある工法が望ましいと考え、指定はしていません。

ロードヒーティング・見積金額と採用結果

見積金額は、万円単位の四捨五入です。遠隔監視用の器材等は含みません。
尚、路面仕上げはスタンプ工法で見積をもらいました。スタンプ工法による増分は40万円程度です。

ロードヒーティング・見積金額と採用結果・ユニットヒータ
見積金額:250万円(税込、消費税5%)
契約容量:12kW(実際12.29kW)

正直一番面白みに欠け、電気代も高くつく方法ではあります。
ただし、メンテナンス費用はほぼかからず、静粛性に優れます。
遠隔制御が一番やりやすいと考えられます。

ランニングコスト:
1番高くつくことは間違いないでしょう。

メンテナンスコスト:
ほぼかからないと考えて大丈夫でしょう。融雪コントローラ、電磁開閉器が故障した場合の交換費用ぐらいと考えます。

ロードヒーティング・見積金額と採用結果・温水、ヒートポンプ、MEL SNOWワイド
見積金額:290万円(税込、消費税5%)
契約容量:3kW

三菱電機製のMEL SNOWワイドを熱源とする温水ロードヒーティングです。
懸念事項として、ヒートポンプが大きく(高さ1350cm×幅1020cm)、さらに1mの台の上に載せる必要があり、設置場所に困りそうです。
また、ヒートポンプとは言いますが要するに巨大なエアコンの室外機と同じですので、周囲への騒音が気になるところです。

ランニングコスト:
事前に口コミで調べた情報では、ユニットヒータと比較して融け具合はゆっくりであるそうです。
契約容量はユニットヒータの1/4、稼働時間をユニットヒータの倍ぐらいとし、トータルでユニットヒータの半分と見込みます。 【1/4(契約容量)×2倍(稼働時間)=1/2。】

メンテナンスコスト:
不凍液、冷媒の補充が必要です。さらにヒートポンプの故障による修理、交換の可能性を考慮しておく必要があります。

ロードヒーティング・見積金額と採用結果・地中熱ヒートポンプ
見積推定金額:450万円前後(税込、消費税5%)
契約容量:3kW

地中熱ヒートポンプを熱源とする温水ロードヒーティングです。
この見積金額は、ヒートポンプ MEL SNOWワイドの見積にボーリング費用、熱交換チューブ等の費用を追加して算出した金額です。
ヒートポンプは、MEL SNOWワイドとほぼ同等金額のサンポットGSHP1002UR(税込定価924,000円、消費税5%)を想定しました。

ランニングコスト:
情報が少なく何とも言い難いのですが、熱交換する相手が液体ですので、電気ヒートポンプより有利なのは間違いないことでしょう。電気ヒートポンプでは、気温が下がるにつて効率が落ちていきますが、地中熱ヒートポンプではその心配はありません。
電気式ヒートポンプの1/2から2/3程度、ユニットヒータの1/4から1/3程度と見込みます。

メンテナンスコスト:
融雪用と熱交換用の不凍液の補充が必要です。電気式と同様にヒートポンプ故障時の修理、交換費用も考慮しておく必要があります。


実はロードヒーティングの検討を始めた時は、地中熱ヒートポンプから調べ始めました。なんといっても電気代も安そうな上に、ボーリングで穴掘るなんて面白そうと考えました。
ですが、下の採用結果にも書きましたが、結局この方法は見送りました。
本当のところは、ほぼあきらめたうえで、ユニットヒータ、電気ヒートポンプの見積を取っています。

2013年9月に電気代が上がり、2014年4月から消費税8%、さらに10%も計画されていますので、新築または大規模リフォームをお考えの方は、床暖房、冷房と共に検討されてみてはいかがでしょう?
北海道のような寒冷地域の方が、初期費用の回収にかかる期間が短くて済むそうです。
また、2011年と比較して現在はボーリングの掘削費用も下がっているとのこと。

参考になりそうなリンクを並べておきます。
書籍:
”地中熱ヒートポンプシステム(北海道大学地中熱利用システム工学講座)”(検討時に購入)
"地中熱利用ヒートポンプの基本がわかる本(内藤春雄)"(最近購入)

地中熱ヒートポンプメーカ:
サンポット株式会社
株式会社コロナ

その他:
地中熱利用促進協会

ロードヒーティング・見積金額と採用結果・採用結果とその理由
結果としては、無難なユニットヒータを選択しました。
予算が潤沢にあれば、間違いなく地中熱ヒートポンプを採用していました。
設置スペースが十分あれば、MEL SNOWワイドを採用していました。
以下に優劣の対照表を示します。

  ユニットヒータ 電気ヒートポンプ 地中熱ヒートポンプ
工事費 X
運用費(電気代)
保守費
静粛性
設置スペース X
興味、面白み X

※地中熱ヒートポンプの静粛性:電気ヒートポンプは空気と熱交換をするファンを回す必要がありますが、地中熱ヒートポンプは地下を循環させた不凍液と熱交換しますので静粛性に優れます。

ロードヒーティング・最終仕様

最終決定したユニットヒータ使用ロードヒーティングの仕様です。

ロードヒーティング・最終仕様・融雪範囲とエリア
融雪面積49.2平米、エリア4分割となりました。日当たり、道路に近くて冷えやすい、家屋に近いので冷えにくいなどの条件の違いの差を、4エリアを独立して制御することで吸収し、省エネを目指します。

ヒータ付排水溝と熱絶縁用のブロックが提案されましたので、採用しました。

ロードヒーティング範囲・決定仕様

ロードヒーティング・最終仕様・回路毎のヒータ容量
回路毎のヒータ容量を以下に示します。

  面積(平米) ヒータ容量(kW) 備考
A回路 7.1 1.78
B回路 5.6 1.39
C回路-1 7.1 1.78 排水路ヒータ含む
C回路-2 5.6
1.39
C回路-3 5.6 1.39
D回路-1 7.1 1.78
D回路-2 5.6 1.39
D回路-3 5.6 1.39

※ユニットヒータの定格は、250W/㎡です。

ロードヒーティング・最終仕様・融雪コントローラ
要求仕様で述べた通り株式会社M.C.SのMs3を採用しました。
回路数は4回路ですので、本体に加えて増設ユニット×3、地温センサ×4を必要とします。
上記に降雪センサも加えた定価は、189,000円(税込、消費税5%)ですが、工事見積に含まれています。

遠隔制御用に”Msシリーズ操作ソフト回線経由パッケージ”105,000円(税込、消費税5%)も購入しましたが、これは直接、株式会社M.C.Sに発注しました。詳細は”遠隔制御”のページで。

ロードヒーティング・最終仕様・路盤仕様
路盤の違いは、工事費に大きく影響を与えます。また、雪の融け易さにも影響を与えるようです。
右側に路盤仕様を示します。

ロードヒーティング・路盤仕様ロードヒーティング路盤仕様

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ロードヒーティング・遠隔制御
ロードヒーティング・工事の様子
ロードヒーティング・稼働状況
ロードヒーティング・運用費用(電気代)、ランニングコスト